サーキットというシビアな環境でハイグリップタイヤ※TS668を検証。
今や全国のバイクショップで定評のあるティムソンタイヤが、ニューラインナップとして街乗りからサーキットでのスポーツ走行まで幅広い用途に対応するハイグリップタイヤを発表した。今回は12インチのTS668を3人のレーシングライダーに装着してもらい、サーキットにおいてテストを実施。その感想を座談会という形でそれぞれに語っていただいた。
※ティムソンハイグリップタイヤは公道走行可能タイヤです。レース専用タイヤではありません。
ご協力いただいたレーシングライダー
クラス : FP4-ST
(4STスクーター準改造)
車両 : シグナスX
戦歴 : モトチャンプ杯西日本シリーズ
2013年 10位 / 2014年 12位
2014 オールジャパン 4位
クラス : FP4-ST
(4STスクーター準改造)
車両 : レーシング125、シグナス
戦歴 : モトチャンプ杯西日本シリーズ
2013年 9位 / 2014年 11位
クラス : Mクラス/FP4-STクラス
/4MBクラス
車両 : NSR50、シグナスX、NSF100
戦歴 : モトチャンプ杯西日本シリーズ
2013年 2位 / 2014年 10位
TSR 夏的賽車祭典2013(台湾)
4MBクラス 3位
/4TBオープンクラス 4位
今回、ティムソンのハイグリップタイヤであるTS668をテストして頂いた訳ですが、項目別にお話を伺えればと思います。
まずはこのタイヤの売りでもあるコーナリング時のグリップについてですが、
フィーリングはいかがだったでしょうか。
中川 : 私は2回のテストを行ったんですが、最初は左回りで路面状態も良好な生駒サーキットで走りました。この時の印象は空気圧が1.7程度だとタイヤがフニャフニャでグリップが安定しないという感じでした。温間で2.0ぐらいになれば少しマシでしたが、寝かし込んでアクセルを開けると滑る、二次旋回時にも滑るという挙動が気になりましたね。2度目のテストの時は、空気圧を1.5に設定して走り出したんですが、同様にフニャフニャ感は感じられました。ただ、堺カートランドはところどころギャップやコンクリートの補修パッチがあったのですが、きれいな路面から荒れたところへ入ってもギャップをしっかりと吸収してくれたので、気を使わずにアクセルを開けることができました。一方でコンクリートで補修されているところでは、アクセルを開けるとタイヤがニュルニュルと外へ滑る感じでこの部分は気を使いましたね。
木戸 : タイヤウォーマー無しで走り始めたんですがタイヤの皮むきも早く終わってタイヤ温度の上昇もけっこう早かったです。テスト時の空気圧は冷間で1.4、温間で1.7程度でしたが、連続走行を続けているとタイヤ表面の温度が安定しなくなったせいか内圧が膨張してタイヤの跳ねがひどくなってきた印象です。グリップに関しては、低温時でも安定していて、タイヤ温度の上昇と共に溶けるタイプのコンパウンドですね。グリップ自体は他社のタイヤと比べても申し分無いですが、1日を通してテストした結果では、路面温度が下がってくる後半の方が安定感が高く感じられました。
金田 : 皮むきとタイヤの感触の様子を見にコースインしてみましたが、タイヤウォーマーを使用せずに走った割には意外に早い内に皮むきが終了しましたし、タイヤ温度の上昇も早かったですね。タイヤのグリップ自体は他のハイグリップタイヤと比べても引けをとらない状態でした。夕方や路面の温度も低い状態かつ、タイヤが減ってからのグリップは申し分無かったです。近畿スポーツランドでの、自己ベストタイムを更新できたのには驚きました。
続いてハンドリングについてはいかがだったでしょうか。
中川 : 綺麗な路面区間はブレーキングからの寝かし込みでフニャフニャでよじれる感覚、フルバンクからのアクセル全開にすると滑って外に出て行こうとしますね。あえて剛性を高めていない構造からか、すごく荒れた路面では他のタイヤよりも走りやすく、路面のギャップの吸収性が優れてるように感じました。これはティムソンハイグリップタイヤがアジアの荒れた路面事情に合わせて開発されたということが大きいのかもしれませんね。
木戸 : このタイヤの跳ねは直線時ではあまり感じられず、バンクしている状態かつ旋回時に荷重が掛かっている時に出やすく冷間、温間問わず路面の継ぎ目やギャップには敏感に反応する印象ですね。また酷く跳ねた状態になると跳ねが収まらず続く感じがありますが意図的に荷重を抜くなどの動作を行なった時は軽減されました。
金田 : 1本目は10分と少ない時間でしたが、タイヤ装着後の初期制動は思っていたより、良かったと思います。空気圧は冷間で1.65、走行終了時は温間で1.95でした。走行時のタイヤの空気圧が高くなっていた為なのか、初期制動なのかは分かりませんが、いくつかのコーナーでバンクさせ、アクセルONの時タイヤの跳ねを感じました。
2本目は1本目で跳ねが生じたので、空気圧を温間で1.8程度まで下げて走行しましたが、大分タイヤも馴染んできた感じで、空気圧も下げたせいか、跳ねも少なくなり良くなりました。一方で無理な進入やフルバンク状態でのアクセルONの時は若干跳ねが残るような感じでした。
耐久性についてはいかがでしたか?
中川 : 左回りのサーキットということもあったと思いますが、左側が結構荒れました。溝の周りが剥がれてきている感じですね。センター部分での計測をしてみると、走行前は空気圧1.7で1555㎜だったのが、100周いかないくらいのレーシング走行で外周1547㎜となってましたので、8㎜程度減りました。
木戸 : トレッド面はバイクの最大バンク角以上に面積があり、どうしても使いきれない部分があるため無駄に感じました。
金田 : 路面温度も低い状態で、なおかつ走行時間も少ない間のテストではありましたが、タイヤの減りがかなり著しいですね。夏場など気温や路面温度が高い状態でのテストが気になります。
最後に総合評価をお願いいたします。
中川 : すごく荒れた路面での路面のギャップの吸収性は非常に優れてますね。グリップは温度が上がり過ぎると跳ねが出てきますが、バトラックスBT601ssやマキシスF1と同じ感覚で走れました。僕たちはサーキットというシビアな環境でテストしたわけですが公道走行可能タイヤとしては充分使えますね。
金田 : タイヤの減りが激しい点や、空気圧が高く なった時の跳ねなど気になるところもありますが、路面温度が低く、タイヤの減ってからのグリップは申し分無いですね。先ほども言いましたが、近畿スポーツランドで自己ベストタイムも更新できたほどなので、トータル的なパフォーマンスは高いタイヤだと思います。
木戸 : 低温時でもグリップは安定していてタイヤ温度の上昇と共に溶けるコンパウンドはハイグリップタイヤそのもの。深いバンク角にも対応出来るトレッド面と路面に敏感に反応するタイヤ構造は初心者、上級者問わず路面状況を把握しやすいタイヤだと思います。
公道走行可能なハイグリップタイヤとしてはライダーのみなさんに好評価をいただきましたが、この内容はティムソン本社にフィードバックし、
日本市場に向けた品質改良を依頼していきます。
本日はみなさんお集りいただき、ありがとうございました。